粋仙会:藤井龍仙の日記

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唐墨が良い?和墨が良い?

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みなさんは
唐墨が多いですか?
和墨が多いですか?
龍仙は和墨7唐墨3くらいの割合で持ってます。

ただ、
何が違うのか?
墨の硬さ?(笑)
確かに唐墨はかたいですよね。
しかも割れやすい。

この違いは、
風土と水の違いを克服した結果の違いで、
それぞれの進化といってもいいんじゃないかと…

具体的には
日本は湿潤、軟水=>高分子膠のままで煤の6割程度
中国は乾燥、硬水=>低分子膠にして煤と同量以上
ということで、
そも分量が違うんです

唐墨の硬さは
墨を磨る水の硬度が高いため、
膠の加水分解が起こりにくいので、
墨の分散を良くするために、
最初から低分子の膠を使うようです。
さらに、
気候が乾燥しているため、
墨が水分にあたる機会が少なく、
固形墨のままで膠が加水分解しくく、
低分子膠で接着力が低くても、
割れずに長期間保存が利くというわけです。

一方和墨は
磨る時の水が比較的軟水の地域が多く、
特に関西はその傾向が高いようです。
関東地域は比較的硬度が高い傾向がありますが、
中国の平均に比べればほとんどそれ以下のようです。
そのため、墨を磨ると、
急速に加水分解が始まり、
粘度が下がりやすいので、
高分子を使っても然程問題なく墨が分散します。
また、高分子膠を使うことで、
湿潤な気候で固形墨の加水分解を補い、
割れにくい隅でしかも磨った時に伸びの良い
墨になっているわけです。

墨の違いはこれくらいにしておいて、
淡墨で使う際に
この違いがどう影響してくるのか

これには、
紙に墨を載せる時に
膠がどう影響するのかを理解する必要がありそうです。

墨の中の膠の役割は、
磨る前は固形を維持するための接着剤、
磨った後は煤の粒子を抱き込んで、
沈殿しないように乳化剤的な役割、
紙についたら、水に乗って、
煤を運ぶ役割
乾いてからは煤が紙から剥がれないように
接着する役割
と最初から最後まで、
いろんな役割があります。

膠が全くない煤を想像して下さい。
粉を水に混ぜて紙に載せた感じです。
にじみはなく、ムラムラで、
水だけが周囲に浸みて行きます。
乾いても、紙を叩くと
ホコリのように取れるので、
表装もままなりませんね。

ここで大きな問題が発生します。
「芯があって、なおかつ、美しい滲み」
芯の部分は膠が邪魔、
にじみの部分には膠が必要
相反することを実現しなければいけないということです。

少し話がそれてきたので、
元に戻しますが、
唐墨は低分子膠なので、
にじみの部分に効果があります。
ただ、日本の水だと、
硬度が低いので、あっという間に滲みが少なくなってきます。

ということで、
和墨を芯に使いつつ、
書くときに唐墨を磨って、
時間を置かず加えるのが理論的です。

時間が経つと、
元々低分子膠なので、
ただの炭素にどんどん近づいて、
芯のほうに回ってくれますが、
煤が比較的小さいので、
大きく成長するまでには
やはり日本の墨のほうが良いようです。

ただ、磨るタイミングや、
混ぜるタイミングは
使う水や気温によって変わりますので、
各自の工夫が要りますね。

ちなみに、
龍仙のすんでいる緑井地区の水道水は
超軟水なので、
加水分解は激しく進みますよ(笑)

今回の結論
和墨と唐墨は
それぞれの特性を理解して、
うまく組み合わせよう
です。
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